蒼井優 (その3)

ashiwaza2007-10-26

その登場シーンだが、客席の通路を白いドレスで降りてくる。おおっと、言う感じ。

残念ながら、声量が足りない感じ。他の役者の言葉も聞きづらかったから、きっと言葉の量が多いんだと思う。蒼井優はちょっと滑舌の悪いところがあるし、舞台女優としての訓練を受けている訳じゃないから、酷なのかもしれない。また、デスデモーナという役自体が、線の細い女性であるから、これはこれでいいなかも。
しかし、蒼井優が以前出演した舞台のDVDをみた時には、ドスのきいたせりふに迫力があり、そもそも、アニーでデビューしたということだから、映画とは違う、舞台女優としてのものを期待していただけに、もの足りなさを感じたのは確か。
でも、やっぱり、立ち姿はすごくきれいだった。仕草のそこここに、蒼井優らしがでていて、やはり生はいいなと思う。ううむ、もっと近くで見てみたかった。なお、舞台装置に、蒲田行進曲の階段落ちで出てきたような階段があり、それを長いドレスを上り下りするから、見ていていてきがきじゃなかった。あれ結構怖いんじゃないかと。手すりもそんなにしっかりしていないようだし。

なんだかんだと話が進んで、いくのだが、イアーゴ役の俳優がすごかった。何がすごいって、陰で陰謀を働いているのだが、オセローの忠実な部下として振る舞っているときに、見事に存在感がない。つまり、人畜無害のその他大勢になってしまうのだ。見ていて不思議な感じがするぐらい。オセロー役のベテラン俳優もまたいい。嫉妬、猜疑心というやつは、それ自身が新たなそれを生むというものだから、特に、純愛であればあるほど、その傾向が強い。オセローの演技は、心の葛藤の表現としては、決してオーバーアクションとも言えない気がした。それらに囲まれて、蒼井優は自分の演技がちょっと引き気味に見えるのは仕方がないか。

最後の20分から、いやもっとか、、蒼井優はベッドで死んだ状態が続く。劇がクライマックスで盛り上がっている中、じっとしていろというのも、かわいそうな気もする。幕後のカーテンコールだが、蒼井優は、観客に笑顔を振りまくというのではなく、なんだが、ちょっとおどおどした感じで、自分の演技に不満だったのかなと印象さえ与えた。それとも、役から抜けきれない状態なのか。私としては、せっかく生を見に来たのだから、終わってほっとしてリラックスしてほほえんでいる蒼井優を見たかったな。ちょっと伏し目がちなので、カーテンコールで、客席に視線を投げ掛けるのを期待していたファンは、少しがっかりだったのでは。
やはり蒼井優映画女優なのかな。
しかし、舞台を久しぶりに見たが、癖になるね。次の蜷川の舞台はリア王ということだが、見てみたい。平幹二郎内山理名か。なかなか良さそうだな。