神童

成海璃子主演の「神童」をDVDで見た。ストーリーは、正直特筆すべきものではない。制作者と監督は、結局、成海璃子自身のもつ「神童」さで、ピアノの神童という役を表現してみたかったのではないか。確かに、彼女はまだ10代前半でありながら、ものすごく大人びている、というか、演技も顔立ちも、幼さというか未完成さを感じさせない点で、神童という雰囲気にぴったりである。この間終わった、「受験の神様」も同様に、彼女の完成されているが故に近づきがたい雰囲気を生かして、その中にある(と期待したい)、子供らしさ、未熟さを見つけだしたいという、視聴者の欲求に訴えるところがあった。ただ、彼女の難点は、その大きな目と、利発さのためか、人を射抜くような目の強さを持つところ。役どころも、気の強いものが多い。今度の「はちみつとクローバー」のハグ役も、神童という観点では、ぴったりの役であるが、原作や映画の、ほんわかとした、子供のまま大人になるつつある少女かというと、成海璃子はそれとは逆の、すでに大人である子供であるから、イメージとしては、逆になってしまう。ただ、本当に成海璃子が、自身の持つ完成されてしまった部分をあえて隠して、ハグのイメージを形成できるとしたら、天才女優であると言えるだろう。でも、逆に、原作や映画とは離れて、気の強い天真爛漫さで、まわりのうじうじしている男どもを振り回すハグというのも、面白いとは思う。ところで、「はちみつとクローバー」であれば、月9枠でもおかしくないのに、火曜枠というのは、フジのなかでは一段下がる位置づけなのか。話を戻して、成海璃子が20歳になったらどんな雰囲気になるのだろうか。今とあまり変わらないかな。でも、デビューした当時は、すごい目力を持っていたが、段々、穏和な感じなっていった中山美穂よりも、後藤久美子のように、目力を保ったままで、人生駆け抜けて欲しい気がする。
なお、「神童」の共演者には松山ケンイチ(しかし、最近の主立った邦画にはほとんど出ている気がするぐらい出ているな。なんか、理系の大学生の雰囲気がして、親しみがわく)、西島秀俊(ちょい役だが、この人もちょくちょく出るな)がいた。
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